~惜しいわたしメッセージ~
「最強の叱り方」で、子どもへの言葉がけの手順や伝え方をご紹介しましたが、生徒さんたちに実践していただくと、余計な一言を加えたために残念な叱り方になっているケースが見受けられます。残念なケースは「惜しいわたしメッセージ」になっていることがほとんど。それを、実例とともにご紹介します。
ケース1 宿題が終わっていない子への「惜しいわたしメッセージ」
①子どもの行動 寝る前に宿題が3ページ残っていると
②理由・影響 明日の朝、慌てるんじゃないかと思って
③気持ち 心配なんだよね。だから、今やったほうがいいと思うんだよね。
この中で残念な部分はどこでしょう?
「だから今、やったほうがいいと思うんだよね」の部分です。このセンテンスは、ママが考える解決方法です。わたしメッセージは、ママの指示を手放して伝えましょう。なぜなら、子どもが自分で解決方法を考え出すかもしれないから。親が指示を出すと、子どもの考える力を奪うことになります。子どもを自立させる親の覚悟は、解決策を示さないことに現れます。
ケース2 23:00が門限なのに24:00に帰宅した娘への「惜しいわたしメッセージ」
①子どもの行動 約束をしたのに、24:00に帰ってきて、
③気持ち わたしはすごく怒っている!
一見、行動(事実)と気持ちが書かれた「わたしメッセージ」ですが、子どもを責めているのが惜しいところ。言われた子どもの方は「は?うるさいな」と思います。 「怒っている」という感情の言葉は、よく使いますが、どうして怒るのか?その怒りはどこからくるのかを考えてみましょう。
ママは、お子さんが帰ってくる前は、心配していたはずです。事故にあったのかな?変な男につかまってしまったのでは?と心配していた。だから帰ってきた瞬間「あー。無事でよかったー」と思ったことでしょう。なのに、「怒っている!」という言葉に変わってしまった。伝えるべきことは怒る前の心配していたことです。
わたしメッセージ
①子どもの行動 23:00の門限なのに、24:00に帰ってくる
②理由・影響 事故にあったんじゃないかって心配で
③気持ち いてもたってもいられなかったんだよ。
ケース3 夕飯前のダイニングテーブルに宿題が残っている時の「惜しいわたしメッセージ」
①子どもの行動 いつもいつもテーブルに宿題のプリントが置いてあって
②理由・影響 料理を置くときにプリントの片付けから初めることになって
③気持ち 出すのが遅くなっちゃうし、手間なのよね。
惜しいのは「いつもいつも」の部分です。事実じゃないからです。(「事実を見る」)「いつもいつも」という、非難がましい言い方を、子どもは瞬時に察知します。「いつもじゃないし!」と反発されます。「事実を見る」を訓練しましょう。
最後にママの学校の礎となっている「親業」の開発者であり、アメリカの心理会社であるトマス・ゴードン博士の言葉をご紹介します。
ゴードン博士の言葉
適切な「わたしメッセージ」は解決策を提案したり要求したりすることはないので、解決策を考える責任は受け手に任せられます。
「わたしメッセージ」は相手をコントロールする方法ではなく、相手に影響を与えることで、セルフコントロールする責任を取ってもらう方法です。
・・「医療・福祉のための人間関係論患者は対等なパートナー」トマス・ゴードン著 丸善株式会社・・